実践的なワークフロー
はじめに
理論を学んだら、次は実際のプロンプト設計とやり取りの流れとして使いこなすフェーズです。 ここでは、日々の作業で Claude / LLM に正しい答えを引き出すためのステップバイステップ・ワークフローを示します。
※ 本レッスンは Claude Code を主な想定環境としていますが、多くの考え方は他の LLM(GPT / Gemini 等)にも共通します。
ステップバイステップのワークフロー
タスクを明確かつ具体的に定義する
目的:Claude が何をすべきか迷わない状態を作る
曖昧な指示は曖昧な結果になります。
例:
「ログインバグを直して」→ NG
「メール未入力時に authenticate() で発生する NullPointerException を修正」→ OK
※ 例は Java ですが、「どの条件で・どこで・何が起きているか」を特定する原則が重要です。
必須コンテキストだけを集める
目的:注意力の分散を防ぎ、重要情報に集中させる
Lesson 4 の「必須/役立つ/ノイズ」の分類を実践します。
バグ修正なら壊れた関数・エラーメッセージ・直接依存コード。新機能ならインターフェース定義・関連例・制約。
※ LLM はコンテキスト量が増えるほど精度が向上するわけではありません。不要情報はむしろ悪影響になります。
プロンプトを構造化する
目的:情報の優先順位を明示し、見落としを防ぐ
タスク定義 → 必須コンテキスト → 制約・要件の順に並べると解釈が安定します。
※ 先頭・末尾の情報が重視されやすい傾向があり、この順序は実務上安定します(経験則)。
反復と追加
目的:必要最小限のトークンで最大の成果を得る
初回は最小コンテキストで送信し、足りない場合だけ追加します。
※ 一度にすべて渡すより、対話的に不足を補う方が結果もコストも安定します。
CLAUDE.md を用意する(プロジェクト共通コンテキスト)
目的:毎回の説明コストを削減し、一貫性を保つ
反復するプロジェクト知識は永続化します。 全タスクで読み込まれる共通コンテキストを用意すると、毎回の説明が減ります。
※ 自動読み込みは環境依存です(Claude Code では自動、他ツールでは手動の場合あり)。
CLAUDE.md のセットアップ
プロジェクトのルートに CLAUDE.md を置きます。
このファイルはすべてのタスクの最初に自動読み込みされ、共通の前提として機能します。
含める内容:
- 命名規約・コーディングパターン
- 使用ライブラリ・技術スタック
- よくある制約や“落とし穴”
- 類似実装の場所
CLAUDE.md は短く保つ(目安:100〜200行、500〜1,500トークン)
CLAUDE.md はすべてのプロンプトの冒頭に自動挿入されます。 500行(約3,000トークン)にすると、20往復で 60,000トークン を消費。 200kコンテキストの30%が共通情報で埋まる計算です。 本当に毎回必要な情報だけに絞りましょう。
※ 行数はあくまで目安です。実際にはトークン数が重要であり、消費量は内容・実装・キャッシュ有無により変動します。
よくあるシナリオと対応例
バグ修正:壊れた関数、エラーメッセージ、1階層の依存関係だけ渡す。
新機能追加:インターフェース定義、類似機能のサンプル、プロジェクトの制約を渡す。必要なら追加質問を依頼する。
リファクタリング:対象コードと「こうしたい」という目標を渡す。望むパターン例があれば併記する。
シリーズ総括
Lesson 1〜5 キーポイント比較
| Lesson | テーマ | キーポイント |
|---|---|---|
| 1 | コンテキストウィンドウ | 作業メモリであり保管庫ではない。最大化より最適化。 |
| 2 | トークン消費 | 入力・出力・システムプロンプト・履歴の4つが消費源。 |
| 3 | 精度低下の理由 | 中間情報は見落とされやすい(Lost in the Middle)。 |
| 4 | コンテキスト設計 | 必須/役立つ/ノイズで分類し、必須から渡す。 |
| 5 | 実践ワークフロー | 定義→収集→構造化→反復→共通化の5ステップ。 |
これまでのレッスンでできるようになったこと:
- タスクを正確に定義する — 目的と範囲を明確化する
- 必要なコンテキストを最小化する — 必須だけを集める
- プロンプトを読みやすく構造化する — 順序で品質が安定する
- 反復的に改善する — 足りないものだけ追加する
- 共通コンテキストを管理する — CLAUDE.md で共有する
重要なポイント(要約)
- タスクは具体的に言語化する
- 初回は最小コンテキストから始める
- 構造化されたプロンプトが安定した結果を生む
- CLAUDE.md でプロジェクト知識を共有する
- 反復を前提に改善する習慣をつける
これで Claude Code を効果的に使う準備ができました。
クイズで知識をテストして、次は実践で高度なテクニックに進みましょう。
※ 本シリーズは「実務で再現性が高い経験則」を重視しています。